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川手 鷹彦

2014年 1月11日


川手鷹彦 再びニーチェと出会う!

10 代で渡米、キリスト教倫理学とともにニーチェを学んだ川手鷹彦は、その後ヨーロッパに拠点を移し演劇藝術と治療教育に身を投じました。彼の地ではゲーテやノヴァーリスに並んで、詩人ニーチェのドイツ語の美しさに驚きまた酔いしれました。ニーチェの再発見でした。演出家・藝術治療教育者として本邦での活動を始めた川手は 2012 年、三たびニーチェと出会うこととなります。 ニーチェの自伝『この人を見よ』を題材とした戯曲の依頼を受けたことにより、再会が果たされたのです。三十年の時を経て顕れた哲学詩人の言葉の力と美麗さに改めて魅了され、短い期間に二篇の戯曲が生まれることとなりました。 能楽笛方の名手にして、あらゆる音楽ジャンルを突き破る天才、一噌幸弘氏(能楽師一噌流笛方)と組んでの舞台創作となります。


三度目に出会うニーチェについての覚え書きより—川手鷹彦

「ニーチェのドイツ語は、ゲーテやノヴァーリスに匹敵する美しさを持っている。自伝『この人を見よ』そして哲学詩『ツァラトゥストラはかく語りき』に触れると、言葉の響きとリズムの巧みさが改めて浮かび上がってくる。文章を読んでいくとそこに自ずと旋律がついてくるほどだ。ニーチェが果たしてそこまで想定していたかどうかはわからないが、特に『ツァラトゥストラはかく語りき』は、声に出して語られ、また声高らかに歌われるように出来上がっている。この作品は戯曲ではないが、舞台上で表現されることが最も相応しい」


川手鷹彦 × 一噌幸弘=????

川手鷹彦氏よりコメントです。

「ご一緒することになった一噌幸弘氏と私の出会いは、2001 年に遡ります。当時、私は法務省保護局から委嘱を受け、少年少女のための演劇プロジェクト「オイディプス王」の総指揮・演出に勤しんでおりました。ギリシャ悲劇に能楽の要素を取り入れた演出をしていた私は、幾人かの能楽師に声をかけましたが、そのひとりが一噌氏でした。それ以来、同じ舞台作品に取り組むのは十年ぶりとなります。一噌氏について両作品ともに考えるのは、枠にはまらないこの天才を、如何にして枠に入れずに演出できるのかということ、そして類い稀なる氏の創造に匹敵し、また生かし合える他の藝術表現を実現できるのか、ということです。」

一噌幸弘氏よりのコメントです。

「川手先生のように「創造性」をここまで極めている人は、私の知る限りめったにいません。ものごとをあらゆる角度から見て、音楽も演劇も深い所まで突き詰め、芸術性あふれる川手ワールド。その言葉と世界をもっと沢山の方に届けたいです。」


川手鷹彦氏プロフィール

1957年 東京生まれ。
20代で渡独し、ゲーテの詩に耽溺。仏シュトラスブールのシュタイナー学校教師を経て、スイス・ドルナッハのゲーテアヌム舞台藝術学院で言語造形術と演劇術を修める。その後欧州で、演出家・俳優、更には「心の保護を求める子どもたち」のドイツ語教師として活動。1993 年帰国後、藝術言語テラピー研究所「靑い丘」を設立し《伝承文化を教材にした「心の保護を求める子どもたち」への藝術教育》に携わる。2000 〜 2002 年 法務省に総指揮・演出を委嘱された演劇プロジェクト「オイディプス王」は社会に大きな反響を呼ぶ。2001 〜 2007 年バリ島でランダ舞手として小村を巡り、ヒンドゥ儀式の最奥を担う。東京大学・立命館大学など諸大学での講義、北海道ポエティカ・京都錦鱗館などでの藝術公演が好評を博している。

一噌幸弘氏プロフィール

安土桃山時代より続く能楽一噌流笛方、故一噌幸政の長男として 9 歳の初舞台以後「道成寺」「翁」等数々の対局を披く。能楽師として能楽古典の第一線で活躍する以外にも篠笛、自ら考案した田楽笛、リコーダー、つの笛など和洋各種の笛を演奏、作曲活動を行う。数々のホール公演、交響楽団との共演における自作曲やクラシック等さまざまな楽曲の演奏だけではなく、歌手・舞踏家との共演における楽曲のアレンジ、自作曲の提供などその活動はまさに縦横無尽。卓越した技量により新たな音楽の可能性を意欲的に切り開いてきた取り組みに対して、日本文化藝術財団より第二回「創造する伝統賞」を受賞している。
重要無形文化財総合指定保持者 / 国立能楽堂講師
ホームページ http://www.tohyohyo.com


演出プランより

『月とうさぎ』ニーチェ自伝と謡曲の『卒都婆小町』を基に書き下ろされた会話劇。

1. ニーチェの自伝『この人を見よ』のタイトルが、福音書に記された総督ピラトがイエスについて語った言葉であることから、ピラトとイエスの会話を中心に据えた。
2. 会話劇ではあるが、特定の思想やメッセージを伝えようとするよりも、言葉の響きや音楽の美しさを深く体験できるように配慮した。
3. 謡曲『卒都婆小町』や小野小町の短歌から引き、ドイツ語訳も添え、歌や朗唱として表現する試みをした。
4. 現代における医師と自閉症の青年との会話を場面に加え、舞台を具体性・重層性のあるものにした。
5. 暦に関しては、月と人間の関わりについて取り上げ、極めて通暁していたイエスと、鋭敏な感覚を持つ自閉症の青年の存在が、互いに響き合うようにした。

上記 2. にあるように、音楽は本劇に於いて非常に重要な役割も持ちますが、まず一噌幸弘氏の卓越した技量と創造性が舞台を特別な藝術空間にしてくれます。
更には実績ある二人の演奏家が参加してくれることになりました。
島泰子氏は、私がゲーテアヌム舞台アンサンブルに所属していた頃、同アンサンブル専属弦楽四重奏に第一ヴァイオリンとして招聘され、欧州の演奏家たちを瞠目させました。
木村佳野氏は、若年の頃から欧州に渡り、英国王立音楽院大学院の修了リサイタルで最優秀賞を受賞、また数々の国際コンクールで優勝しています。
三人の音楽を聴くだけでも当劇鑑賞の価値があるところですが、加えて彼らの演奏に美しい合唱が歌い合わせます。
上記 3. のように、日本の古典テキストを合唱曲に使い、またバッハのトリオに創作歌曲を重ねるなどの藝術的実験を試みています。才能ある役者陣の中には自閉症者が含まれ、所謂健常者にはできない、優れて精神的な演戯を見せてくれます。


『ツァラトゥストラはこう奏でたか?』では、
ニーチェの傑作『ツァラトストラはかく語りき』から重要な数章を取り上げ、場面ごとに様々な藝術表現を試みながら、それらが化学反応し、融合結晶し、最終的に哲学詩人の理念《永劫回帰》が知的にではなく大海の如く現れる総合藝術作品を目論んでいます。出演は一噌幸弘氏の他、元大駱駝艦メンバーで現在はルーマニアや自宅近くの池で踊る舞踏家大坪光路氏、大野一雄舞踏研究所から若手の二人も参加予定で、奇しくも 'Butoh' を創始した土方巽・大野一雄両潮流の「再会」となります。とはいえ、笛と舞踏のコラボレーション的な舞台は想定しておらず、全く新しい形の藝術表現を目指します。これからも多彩な音楽家・役者・舞踊家たちが様々な形で関わるでしょう。二つの作品にご興味をもたれた方は、ぜひ劇場へ足をお運びください。また、音楽劇『ツァラトストラはこう奏でたか?』では、上演実現にあたり制作活動をサポートしてくださる方々を募集しております。準備会として 2013 年 9 月に発足、毎月 1 回程度の会合を基本に活動をしています。


舞台公演『月とうさぎ』 概要

日時
会場

入場料
予約・申込み
2014 年 2 月 4 日(火) 19:00 開演
五反田文化センター音楽ホール
  (JR 五反田駅、東急池上線大崎広小路駅より徒歩 15 分)
5,000円
hananoie.tokyo@gmail.com

発案:森澤勇司  音楽監督:一噌幸弘  戯曲・演出:川手鷹彦
主催:月とうさぎ実行委員会
協力:幸弘の会、一般財団法人《花の家》、藝術・言語テラピー研究所「靑い丘」


音楽劇『ツァラトゥストラはこう奏でたか?』概要

予定日時と場所  2015 年 1 月 11 日 東京
予定されている出演者  一噌幸弘(笛)、大坪光路(舞踏)他

問合せ先
発起人:一噌幸弘、川手鷹彦、音楽監督:一噌幸弘、戯曲・演出:川手鷹彦
協力:幸弘の会、一般財団法人《花の家》、藝術・言語テラピー研究所「靑い丘」

<付属準備会>
毎月 1 回の会合(制作会議及び作品に関する勉強会 / 創作立会い)
https://www.facebook.com/isso.kawate
問合せ:lecture.night@gmail.com(宮地)


上記二作品にご興味をお持ちいただけた方に実際に、ご覧いただく機会を設けております。お時間がございましたら、ぜひ足をお運びください。


『月とうさぎ』通し稽古

日時  2 月 3 日・4 日 時間帯はお問合せください
場所  五反田文化センター音楽ホール 東京都品川区西五反田6-5-1
      (五反田駅、大崎広小路駅徒歩 15 分)


音楽劇『ツァラトゥストラはこう奏でたか?』

月毎の準備会、稽古などにお越しいただけます。詳細はお問合せください
場所  一般財団法人《花の家》東京支部  東京都品川区北品川6-5-3
(品川駅、北品川駅、高輪台駅より徒歩 15 分)



      
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