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川手 鷹彦

治療教育外来よりのニュース

特別演劇プログラムを終えて

沖縄北部地域での初の演劇プログラムでしたが名護市、本部町、今帰仁村の教育委員会の後援をいただき、県内外より予想を上回る参加者がありました。

そして川手先生、スタッフ、実行委員会のメンバーの方々の多大なご協力があったことで楽しく充実したプログラムとなり、参加者皆さんが大変喜んでおられました。
また舞台本番の時はたくさんの方々が見に来られ、無事終了しましたことに大変感謝しております。

舞台上での子どもたちの天真爛漫な姿に打たれ、物語の世界に引き込まれた方も少なくなかったのではないでしょうか。

今後も名護市屋我地診療所の治療教育外来の一環としてこの演劇プログラムを継続していきたいと考えておりますし、より多くの人たちにプログラムを通じて治療教育を知っていただきたい、そして参加していただきたいです。

今後も皆様のお力添えをいただきたいと思いますのでどうかよろしくお願い申し上げます。

2014.11.6
屋我地診療所所長
小野寺隆



限りなく自由な子どもたちの遊戯衝動と創造性。
但しそれは、大人たちの愛と慈しみそして支えによって守られている。
その時演劇藝術は治療教育となる。

二つの物語を基にした芝居。

ひとつ目は、竹富島に伝わるわらべうたから生まれたピピジャー/山羊とガラサー/烏。
美しい角を持つ山羊が歌う。大きな黒い羽を持つカラスが飛び回る、かぁーかぁー。
他にも象、極楽鳥、ライオン、虎、蛇、蚊、森の動物たち、村の子どもたち。

ふたつ目は夏の浜辺を歩いていた少年が、砂の下の蟹の国に誘われる物語。
思春期の瑞々しい恋心、そして若者たちの心の葛藤と浄化の顛末。
ここにも動物たち、そして精霊たちが出てくる。
蟹、鴎、海の生き物、人魚、そして汐風の子どもたち。

舞台の上で子どもたちは大自然と一体になり、動物精霊たちと融合する。

舞台の上で大人たちは子どもらを見守り、支え、そして子どもらを通して大自然と一体になり、動物精霊たちと融合する。

舞台のこちら側で観客は子どもらの瑞々しい演技に触れ、彼らを通して大自然と一体になり、動物精霊たちと融合する。

そして心は洗い流される。
砂浜の下の蟹の国で、少年が脱皮したように・・・
日々の禍いわだかまりは、洗い流される。

公演会場/稽古場のすぐ向こうは海だ。
集中した舞台稽古の合間、子どもらは海辺へ向かった。
彼らは実際の汐風、涙と語らい、台本を翼代りにはためかせ、鴎になった。
そのようにして彼らは、自分たちだけでなく、共演者の大人たち、観客席の子どもら大人たちの心をも浄化する術(すべ)を身につけていたのだ。

2014.11.5.
沖縄にて
川手鷹彦


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